にゃーゆるヴェーダの冒険25【ブラフマ・ムフールタ（BrahmaMuhurta）】

おっはよー！トムトム！！さぁ、素敵な１日の始まりだよっ！！

えー‥まだ眠いよ…。今、何時？

朝の冷気が心地好い、ただいま地球時間で4時半でありんす‥。

はい！？まだ人の起きる時間じゃないじゃん！

あら、良かったぁ♪あっという間にお目覚めね♡

いやいやいや、待って待って！普通の人は起きてないよ、この時間。まだ太陽も昇ってないじゃん！

そう‥「普通の人」はね！だけど我々「にゃーゆるヴェーダーズ」にとって、こんなに価値のある時間はないんだ！今日はそんな朝の神聖な時間「ブラフマ・ムフールタ」について一緒に調べていこう！！

お願い‥寝かせてー。

創造神・ブラフマー（Brahma）

「ブラフマ・ムフールタ（BrahmaMuhurta）」‥それは太陽が昇る前の、最も静謐（せいひつ）で、最も神聖な時間‥。その日１日のあらゆる可能性を内包した無限の宇宙と繋がる時間‥。

「ブラフマ・ムフールタ」の「ブラフマ」は創造神の名前なんだ

創造神？

そう、この世界を創った創造神・ブラフマー（Brahma）！

ブラフマー（Brahma）

原初の世界は混沌としていた。そこに原初の水（ナラ）が生まれた。水の中に種をまくと、種は光輝く黄金の卵（宇宙卵）となり、卵からブラフマーが生まれた。ブラフマーは卵の殻の上半分を地界に、中間を空界にして三界をつくり出し、あらゆる生命や世界をつくり出した。

出典：いちばんわかりやすいインド神話/天竺奇譚

（‥ブラフミャー）

この世界は３柱の偉大な神様によって、創造→維持→破壊を繰り返していると考えられている。創造は「ブラフマー」、維持は「ヴィシュヌ」、そして破壊が「シヴァ」‥。

えー？破壊もあるの？

始まりがあれば終わりがある‥破壊とともに再生や治癒の力も持ったシヴァ神は、インドでは凄く人気のある神様なんだよ。

そういえば、時間のときに名前が出ていたよね。マハーカーラって呼び名があって、日本だと「大黒天」になるんだっけ？

よく覚えていたわね！その通りよ、トムトム。

同じようにブラフマー神も日本に伝わって「梵天」となっているわ。お釈迦様をプロデュースしたことで有名ね♡

ちなみにブラフマー神は大好きな自分の妻・サラスバティを常に見れるように‥と4つの頭を持っているんだ。

意外とお茶目さんだね。

もっとも、はじめは5つの頭を持っていたのに、シヴァとケンカして、ひとつ切り落とされちゃったんだけどねぇ。

意外とメチャクチャなんだね‥。

そんなお茶目でハチャメチャなブラフマー神が司る「創造の時間」…それが日の出の96分前から始まるブラフマ・ムフールタ！それは宇宙の叡智（えいち）がつまった神聖で宝物のような時間！！

「ムフールタ」というのは時間の単位であることも覚えておくと良いよ。1ムフールタは1日の30分の1…つまり48分間。日の出の2ムフールタ前から始まる聖なる48分間は、瞑想や勉強、音楽の練習に最も良いとされているんだ。

（いや、こんな朝早くから楽器鳴らしてたら、ご近所迷惑でしょ）

ブラフマ・ムフールタがもたらす３つの恩恵

①健康増進

ディナチャリヤの時にも話したけれど、早起きは心身の健康と幸せな人生にとって凄く大事なんだ。

なんと科学的な根拠もあるのさ！朝起きて、太陽の光を浴びることは、脳の中の神経伝達物質・セロトニン(5-HTT)が分泌される。これは身体のバランスを保つ自律神経の働きを整え、頭の回転を良くし、ストレスを抑えリラックスした幸せな状態にしてくれる…いわば自前の精神安定剤だね！

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれている。オキシトシン・ドパミンと並ぶ「３大幸せホルモン」のひとつだね。うつ病はこのセロトニンが不足した状態でもあるんだ。だから、うつ病の薬にはセロトニンを増やす働きを持つものが多いんだよ。

実はねー、アーユルヴェーダでは病気の種類や強さによって、起きる時間が決められているの。特に、不安神経症やうつといった精神面からくる体のトラブルに、早起きは効果的とされているわ。「セロトニン」なんて言葉もなかったずっと昔から、早起きの効能を知っていたアーユルヴェーダって、やっぱり凄くない！？

ふーん、早く起きることが治療や薬になるんだね。

それだけじゃない！朝日を浴びることは、夜しっかり眠ることにもつながるんだ。朝日を見ると脳の中の眠たくなる物質・メラトニンがピタッと止まる。そして、それから14〜16時間ぐらい経ったら再び出てくる仕組みになっている。そのおかげで人は、しっかりぐっすり眠れるんだ。

健康で幸せな人生を送るのに必要なのは「食事・運動・適度な睡眠」！！良い睡眠のためには、まず朝にしっかり起きて太陽の光を浴びることが大事なんだよ。

②学業や仕事の成績が良くなる

早起きは身体だけでなく、頭にも良いんだよ。早寝早起きの睡眠習慣を持つ学生の方が成績が良い…っていう研究データもあったりする。

え？早起きするだけで成績が上がるの！？

あはは！みんなが確実に上がるわけじゃないけどね。それでも、やっぱり早く起きて、朝の間に勉強や仕事をする人の方が、何かと良い結果を出しているみたい。

早起きが良いとされる論文や研究

人は朝15分でできる仕事が、昼になると30分、夜には2時間かかる（「Nature」1997年7月12日号）
早起きする人のほうが夜更かしする人に比べて積極性が高く、仕事成功する確率も高い（「Journal of Applied Social Psychology」2009年12月・Christoph Randle）
夜更かしや睡眠の質の低下は、人生やキャリアなどへの長期的な悪影響を及ぼす（「Harvard Business Review」～How Much Is Bad Sleep Hurting Your Career?・Tomas Chamorro）
目覚めから３時間は脳活のゴールデンタイム（脳を最高に活かせる人の朝時間/茂木健一郎）

そっかー、同じ時間を使うなら、どうせなら効率よく使いたいよね。

じゃあ、帰ったらすぐに寝てしまった方が良いってことか！

ちゃーんと朝起きて、宿題とかやれるならね。でも寝過ごしちゃった時は知らないよー！？

生活リズムが自然とそうなると良いね。朝にやるべきことをやって、帰ってからは自分の好きなことをする。

大事なのは自分で自分の時間をコントロールして自律する力…今のトムトムに、その力があるかな？

…えーっと、ちょっと自信ないかも

今はそれでも大丈夫。毎日少しでも良くなろうって気持ちで過ごしていたら、きっと想い通りの自分に近付けるから。

私たちが応援しているわよ♡

③心理的幸福感が高まる

最初に話した幸せホルモン・セロトニンも関係するけれど、早起きすることは心理的幸福感が高まるとされているんだ。

心理的幸福感…幸せな気持ちになりやすいってこと？

そうそう。でも気分が上がる「ハッピー」というより、感情が安定して自分の人生に満足する…満たされた気持ちになるって感じかしら？

まわりが静けさに包まれ、意識も冴えわたった時間に、誰にも邪魔されない自分だけの時間が持つ充足感は、体験した人にしか分からないと思う。人は自分の人生を自分でコントロール出来ていると感じている方が幸福度が高いらしい。自己決定感は、お金があることや勉強ができること以上に、人を幸せにする力があるんだ。

へえ～、お金や成績よりもって…なんかすごいね。

もちろんみんながみんな、早起きで幸せになるって保証はないけれどね。それでも、早起きはポジティブな気持ちにさせてくれる効果が高い。一瞬のはかない幸せじゃなく、人生全体における幸福度を高くしてくれると思うよ。

The early morning has gold in its mouth.”

— Benjamin Franklin”

早起きや睡眠の幸福度への影響についての論文

朝型の人々は夜型の人々に比べて心理的幸福感が高く、朝型の人々が早起きすることで認知機能やパフォーマンスが向上する（「Current Biology」2015年1月～The Impact of Circadian Phenotype and Time since Awakening on Diurnal Performance in Athletes/Elise Facer-Childsほか）
概日リズムは生理学的・行動的機能にとって重要で、朝型・夜型といったクロノタイプは、人間の健康問題…特にうつ病など精神疾患に関連している（「Naional Library of Medicine」2022年8月～Chronotype, circadian rhythm, and psychiatric disorders: Recent evidence and potential mechanisms/Haowen Zouほか）
朝型の若者と高齢者の両方が、朝性のスコアが低い同年代の同世代よりもポジティブな感情と主観的健康のレベルが高い（「Emotion」（2012年）Happy as a lark: Morning-type younger and older adults are higher in positive affect/Biss, Renée K.ほか）