本当の幸せと健康の鍵を握るアーユルヴェーダ‥その中でも特に大切な力、消化力・アグニ(Agni)の秘密を知ったトムトムとピッタ・ヴァータ・カパりんのドーシャーズ3。
彼らが次に紐解くのは、身体の組織・構成要素であるダートゥ(Dhātu)。
我々のからだの成り立ちから見えてくる「幸福な人生」の秘訣とは!?
もくじ
身体構成要素・ダートゥ(Dhātu)と最初の組織・ラサ(Rasa)
今回は体の話だよね?体ってことは、細胞や遺伝子のこと?
それもあるけれどね、アーユルヴェーダでの考え方はちょっと特徴的。
体の中に入った食べ物は、まずボクのアグニの力で細かく細かく分解・消化される。
胃や腸などの消化管で消化・吸収された食べ物が、まず肝臓に向かうのは今の西洋医学と同じ。
だけど、アーユルヴェーダではその時にパンチャ・マハブータ(五大元素)に対応する物質にまで変換・代謝されるとされているんだ。
パンチャ・マハブータ…確か、空・風・火・水・土の5つだったよね。つまり、食べたものはピッタのアグニの力・消化力で、5つの小さな元素にまで分解されるってことか…。
レゴブロックをバラバラにして、同じ色を揃えていく感じかな…?
うふふ…その例えはイイわね、トムトム。
一度細かく分解して、それを使って自分の体に必要なものを作り直すのは、確かにレゴブロックに近いかも。
ちなみに、その作っていく作業の時は私の出番!芸術家の血が騒ぐわ!!
そうやって作られていくのが体を構成する7つの組織…ダートゥ(Dhātu)で、その最初に作られるものがラサ(Rasa)と呼ばれる血しょうのようなものなのよ。
らさ?血しょう?
血液から赤血球や白血球といった細胞成分を取り除いたもの‥それが血しょう・ラサ(Rasa)。
ラサ(Rasa)には色んな意味があるんだ‥「エッセンス」「味」「液体」。
現代の便利なヴェーダ・ウィキペディアには、こう書かれているよ。
血液細胞・養分・脂質・ホルモン・老廃物の運搬、体内恒常性の維持(緩衝作用)、血液凝固、免疫機能を持つ(抗原抗体反応の場)。 急激な温度変化の抑制。 血管外に組織液としてしみだす事ができ、これにより細胞に栄養分を供給できる。
身体全体に滋養を与える‥という意味では、まさしく肉体の「基礎(エッセンス)」。
良いラサが出来ないと、ほかの組織もグダグダになってしまう。食べ物が上手くラサに変換できなかった時に出来る未消化物‥それこそが病気の原因となるアーマ(Ama)なんだ。。
7つの身体構成要素・ダートゥ(Dhātu)のながれ
じゃあ、最初のラサが出来るところでつまずくと結構痛いね…。
そうなんだ!だから、ボクのアグニ(Agni)の力をちゃんと整えておくことが、元気な体を作るのに何よりも大切なんだ!!
分かる?分かる!?分かるーー!!?
わ、分かった、分かったけど…色々と熱いよ、ピッタ。。
で、アグニの力で消化された食べ物から出来たラサは、その後どうなっていくの?
うふふ、7つのダートゥはこの順番に作られていくと言われているわ。
- ラサ(Rasa):血しょう
- ラクタ(Rakta):血液
- マムサ(Māmsa):筋肉
- メーダ(Medas):脂肪
- アスティ(Asthi):骨
- マッジャー(Majjā):骨髄、神経
- シュクラ(sukra):精液、卵子
順番はしっかり覚えなくても良いよ。でも、良い食べ物から、全ての基礎となるラサ(血しょう)が出来ることと、次の世代に命を繋ぐための大切な組織は、7つの段階の一番最後に出来ることは覚えておいてほしいな。
老廃物マラと副産物キッタ
食べ物から上の順番で体の組織が出来ていくとき、同時に生まれるのが副組織・キッタと老廃物・マラ。「健康」っていうのは、良い組織・ダートゥが出来るだけではなく、ちゃんと老廃物・マラが排泄されることも重要なんだ。
排泄…ってことは、マラってウンチやおしっこのことか。
便秘って確かにからだに悪そうだもんね。
うん、その通り!あとね、生理的欲求を我慢することも良くないの…。トイレは我慢しないで早めに行くこと!お行儀は良くないけれど、オナラやゲップも我慢しないで、その場で出すのが健康には良いってされているわ♪
…健康になっても社会的に不健康な立場になったら面倒だと思うけどね…最低限のTPOは守ろうね( ̄ω ̄;)
ちなみに、それぞれのダートゥからどんな副産物・キッタと老廃物・マラが出来るかをまとめると、こうなるよ。
副組織 | 排泄物 | |
---|---|---|
食べ物 | 便や尿 | |
食べ物からラサ | 乳汁、月経血 | 痰 |
ラサからラクタ | 腱、血管 | 胆汁 |
ラクタからマムサ | 皮膚、筋肉組織 | 目や鼻などからの分泌物 |
マムサからメーダ | じん帯、関節 | 汗 |
メーダからアスティ | 毛髪、爪 | |
アスティからマッジャー | 目、皮膚、排泄物の油分 | |
マッジャーからシュクラ | なし |
へえ…こうやって見ると、髪の毛や爪も不要なモノになるんだね。
あれ?骨髄や神経のマッジャーから、子どもをつくるための組織・シュクラに変わる時は何も出来ないの?
そう。それだけ純粋になっている…ってことなんだ。全てを使い切って命を繋ぐ生殖のための組織は出来るんだよ。
僕たちの命は、とてもとても純粋なものから生まれてきたんだ。大切なことだから忘れないでね。
そしてね、これからトムトムが食べたり飲んだりして体に取り入れるもの…さらに見たり聞いたりして心に取り入れるもの。それらが、トムトムの次の代やそのまた次の代に受け継がれていくことも覚えておいてくれると嬉しいわ♪
7つのダートゥから最後に出来るもの‥オージャス(Ojas)
そして、食べ物がラサになって、どんどん変換されて、最後のシュクラにまでなったあと…満を持して生まれるのが、僕らの生命エネルギー・オージャス(Ojas)!
ひえー!そう考えると、オージャスができるまでって、結構たいへんなんだね。。
そうなんだ!たくさんの良い素材が、たくさんの正しい工程を経て、やっと出来るわずかな神秘の雫…それがオージャス!!
「健康」っていうのはね、このメカニズムが上手く流れるように進むことを言うんだ。古典書にはこんな風に書かれているよ。
異常な状態(病気・ヴィカーラ)とはダートゥの不均衡のことであり、要素が均衡していることを正常な状態(健康・プラクリティ)という。健康は幸福・安楽(スカ)であり病期は不幸・苦痛(ドゥカ)である。不均衡になったダートゥの均衡を取り戻すために、医者などの優秀な四本柱を用いることを治療(チキツァー)という。
(チャラカ・サンヒター第9章 4-5)
色んなことに言えるけれど、大切なのは「バランス」なんだ。自分のバランスをいつも感じて、崩しそうな時に早く気付いて立て直すことが、健康のためには大切なんだよ。
元気な体を守るために、私たちはいつもトムトムに「ここは調子良いよ~♡」「ここはおかしいよ~!」って声をあげているのよ。忙しいと、つい自分のことを後回しにしちゃって、バランスを崩していることにも気付かないけれど…自分の心と体の声に耳をすます時間を増やしてくれると嬉しいな…。
…そっか。僕、自分の体がこんなに複雑で繊細なものって知らなかったよ。それに、ピッタやヴァータ、カパりんが体の中でこんなに頑張ってくれていることも。。
僕の体の一部になってくれた食べ物や飲み物、体の一部にするために絶え間なく動いてくれている僕の体、そしてそのおかげで色んなことが出来て、色んなところに行ける。
なんかね、すごくすごくたくさんのものに助けてもらっている感じがしてきた。僕は、自分ひとりで生きているワケじゃあないんだね。
みんな…いつも、ありがとうね。
くうぅぅぅ~~~ッ!!泣けるねっ!!
それに気付いてくれただけで、ボクたちは幸せだよ…(*T▽T)
そうなんだ、トムトム。君は色んなものに生かされている、活かされている。
だから君は、みんなのためにも自分を大切にして、幸せになる権利と義務がある。
あぁ、ちくしょう…目から心の汗が…。
…色々と熱いよ、ピッタ。。
次回予告
心と体と魂…その3つを繋ぐものとは?
アーユルヴェーダの基礎となる
数々の知識を手に入れたトムトム。
それらが指し示すものは
生命を構成する心と体と魂の神秘!
本来、硬い繋がりを持つこの3つを
分断する危機とはいったい…?
そして、その絆を取り戻し、
繋ぐために必要となるものは?
乞うご期待!!