うららかな春の陽気は瞬く間に過ぎ去り、次にやってきたのは高温多湿が五感に苛むじめじめの梅雨…そして酷暑の夏!
心と体のバランスを崩しやすいこの時期…どんなことに気をつけて生活を送ると良いのか…?
トムトムとピッタ・ヴァータ・カパりんの追求の旅は続く。
もくじ
夏…それは全てのドーシャが乱れる要注意シーズン
毎回言ってる気がするけれど、毎年どんどん日本の夏が暑くなってきているよね…。
まったくね…しかも、日本の夏って湿度が高くて、ある意味砂漠より過ごしにくかったりするんだよ。不快指数が世界最強クラス!!
僕たち、結構危険なダンジョンで生きているんだね。。
特に梅雨のシーズンは要注意!実はこの時期は、私たちみんなバランスが乱れて、ものすごく体調を崩しやすいの。さらに食べ物はすぐに痛んでじゃうし、呼吸器に悪い影響を与える室内のカビにも気をつけたいところ。雨に濡れたまま、体を冷やしたりするなんて、病気に一直線!絶対にしちゃダメよ、トムトム。
ちなみに、ヴァータ・ピッタ・カパの全てのドーシャが乱れた時は、まずは僕、ヴァータを整えるようにしてね。前にも話したけれど、覚えているかな?ドーシャのバランスの要は、僕の空と風の力なんだよ。
夏にカレーはNG!消化力・アグニ(Agni)の力が最も弱るのが夏
そっか、梅雨や夏は、みんなが疲れてしまうんだね。だから夏はカレーとかウナギとか元気がでるものを食べて、スタミナをつけよう…っていうことなんだ!!
スト———ップ!!
それはアーユルヴェーダ的には絶対やってはいけないこと!
え!?そうなの!?
うん、梅雨や夏は太陽の力が強くなっていく季節。湿り気や熱の力で、ピッタの消化力・アグニ(Agni)の力がどんどん弱くなってしまうんだ。。
暖炉の今にも消えそうな弱々しい火を想像してみて、トムトム。そこに、薪やら枝やらをドンドコ・ドカドカいっぱい入れたらどうなると思う!?
うっわー、なんか苦しそう。。
そうなんだ。夏の暑さで消化の火力が弱っている胃や腸に、スタミナ重量系のヘビーな食べ物を入れるのは、実は全然体のためにならない…むしろ体を痛めつけているんだ。「夏はカレー」って良く言うけれど、本当は消化に良いものを少量選んで食べるのがベストは食べ方なんだよ。
えー…、カレー、大好きなんだけれどなぁ。。
スポーツマンみたいに凄く体を動かしたり、トムトムみたいに若くて元気で、消化力・アグニ(Agni)の力が強かったら、そこまで気にしなくていいわよ。大切なのは自分の状態にあった質と量の食べ物を摂ること♡
カパりんの言う通り、ちゃーんと食べたものが全部消化されて、ダートゥ…そしてオージャスになるなら大丈夫。問題は自分の消化力以上のものを食べて、未消化物・アーマができることなんだ。夏、なんとなく気だるくなるのは、意外と食べすぎのせいかもしれないよ?
リトゥチャリヤ(RItucharya)~梅雨から夏の過ごし方
①生活法
それじゃあ、梅雨から夏にかけての過ごし方(Ritucharya)を見ていこう!
梅雨と言えば雨!このジメジメの「湿」を取るために有効なのが、実は乾布摩擦(ガルシャナ)なんだよ。春のリトゥチャリヤでもあったけれど、カパりんを整えてくれる働きがあるんだ。
もちろん僕が大好きなオイル・マッサージもいいよ。
体にたまった熱を抑えるため、ピッタを鎮める効果のある森林浴も良いわね。炎天下の激しい運動はダメだけど、森林浴は体感温度が少し下がるし、ピッタの乱れで不調になる目にも良いわ。何より五感を刺激されて心が解放されるし…素敵よね♪
確かに…夏の山歩きって、めっちゃ気持ちが良いよね!普段遊んでいる時も、日差しの中を走り回った後の木陰ってサイコー!なんだかすごく守ってもらっている感じがするよ。
打ち水や朝顔のカーテン、葦簀やスダレ…日本にはそんな風情豊かな「涼を取る」知恵がたくさんあるよね。畳だって熱を伝えにくいから暑い日本の夏にはピッタリなんだ。新しいモノも良いけれど、長い歴史の中で作られた季節に対応した知恵は、これからも遺していってほしいな。
熱帯夜と言われる寝苦しい夏の夜は、オージャスをどんどん奪っていくから、涼しい部屋で眠ることはすごく大切。だけど、冷房をガンガン入れて、体を冷やしすぎるのは絶対ダメだからね。
クーラー病と呼ばれる自律神経の乱れは、まさしく現代ならでは病気よね。最初は軽い症状でも、坂道を転がる雪玉のように、色んな重い病気に発展しかねないわ…。医療はすごく発達しているのに、人間が本来もつ生命力はどうかしら?なんだかよく分からない不調の原因を辿っていくと、もしかしたら同じ源泉にたどり着くかもしれないわね。。
もしかして…それがアーマってこと?
ボクたちはそう思う。本当に大切なものをないがしろにしてきた結果、心と体の内側で自分自身を侵食していく危険なものが日々生まれている…そんな気がして怖いんだ。
②食事法
天変地異とか異常気象とかなんて、今の僕にはどうしようもないけれどね。でも、自分の体のことなら出来ることがたくさんありそう!
そう、まずは自分自身から!そうやって幸せと健康を広げていくことが、きっとトムトムの進む未来を明るく照らしてくれると思うんだ。
そのためにも、日々の過ごし方・ディナチャリヤと季節の過ごし方・リトゥチャリヤは絶対身につけたい生活スキル!!
誤解や勘違いもあったしね。夏のカレーやスタミナ料理はあまり良くないことは分かったけれど…それなら何を食べるのがいいのかな?
梅雨の時期は私たちみんな調子が悪くなるし、夏はピッタとヴァータがおかしくなるのよね~。それを整えるのにオススメなのが、「甘味」と「冷性」を意識した食べ物なのよ♪
ちなみに古典書ではこう書かれている。
冷たくて甘いマンタ(粘滑性飲料)、乾燥地の野生動物<鹿>や鳥<鳩>の肉、ギー、牛乳を米と共に食べる者は、夏の間中苦しむことがない。
出典:チャラカ・サンヒター (第6章‐28)
このマンタ(mantha)は色々な説があるんだけれど、炒った大豆の粉を混ぜた牛乳(梵和)やイチジク、干しぶどう、デーツを混ぜた飲みもの‥とも言われている。ペーヤと呼ばれる薄い粥やミルク粥もいいね。こういうものが、夏の暑い時期に暴走するピッタを抑えてくれるんだ。
冷たくて甘いものが良いとはいえ、かき氷やアイスの食べすぎはダメだけれどね…( ̄▽ ̄;)
ちなみに日本人のトムトムにボクたちが一番勧めたいのは、スイカ(西瓜)やゴーヤ(苦瓜)、キュウリ(胡瓜)といった夏が旬のウリ類!瑞々しいウリ類は、汗で失われたミネラルも補うことができる優れもの!
へえ~!やっぱり世界って上手く出来ているんだね!!
ホントにね~、バナナやマンゴーといった南国の食べ物も体を冷やしてくれるのよ。
逆に夏に食べない方が良いのが、ピッタを乱す塩味、酸味、辛味、そして熱性の食べ物。辛~いカレーは、色んな意味で実は避けた方が良い食べ物だったりするのよ。
③治療法
春は吐く治療(催吐法・ヴァバナ)良いって言ってたよね。夏も何か治療法があるのかな?
そうだね~。ボク‥ピッタが乱れた時には、ヴィレチャナ(Virechana)と呼ばれる下剤法がよく用いられるよ。数日間、ギーを飲んで(しかも徐々に増やしていく)最後に薬(下剤)でドッカーーン!!
ひーーッ!想像するだけで、なんかヤダ。。
上から下から‥どっちもキツいなぁ‥。。
アーユルヴェーダって、キレイなお姉さんが受けるエステとかのイメージが強かったんだけど‥実際は違うねー。
うふふ‥あのインドエステ・オイルマッサージも治療の一部ではあるのよ。でも本当はもーーっと広くて奥が深いのがアーユルヴェーダの世界!トムトムには是非、色んなことを知ってほしいわ~(*^^*)
それにエステまで行かなくても、毎日行うオイルマッサージなら自宅で出来るからね。本当はそういう身近なところで日々行うセルフケアが大切なんだ。自分と向き合う時間も含めてね。
毎日少しずつ行う気持ちの良いマッサージと、ためた毒を一度に出すことができる浣腸療法(※1)‥トムトムはどっちが好きかな~?(笑)
ここで浣腸と答えられる強者にはなりたくないな‥。。
※1)実際には前処理なども含めて数週間単位の時間が必要な場合があります。
あはは、確かにね!だから、家でできるスパイスレシピもあるよ!オススメのスパイスはコリアンダー、フェンネル、ペパーミント! ここでも紹介したけれど、これらは暴走するボクの力を抑えてくれる働きがあるんだ。
特にコリアンダーシードを水に一晩浸した水出しコリアンダー水はオススメ。ピッタだけでなく僕・ヴァータもカパりんも癒してくれる。インドで受けるパンチャカルマの施設では、この水だけはいつでも飲めるよう常備されているらしいよ。
コリアンダーもスイカも実はカリウムが豊富。カリウムには利尿作用があって、ナトリウム(塩分)と水分を外に出すことでむくみ改善や血圧を下げる効果もあるの♪
なるほど!頭に血が上りやすいピッタにはピッタリだ!!
だっ、誰が頭に血が上りやすいって!?
(それだよ、それ…。)
あ、そうそう。でも、腎臓が悪い人は気をつけて!
カリウムの摂り過ぎは良くないの。もし周りにそんな人がいたら気をつけてあげてね。
ちなみに、腎臓が弱い人や子ども、夜のトイレが近くて困る人には利尿作用がない麦茶が良いわよ♡
…そっか、病気になると色々と気をつけないといけないことがあるんだね。
そう!だからまず、自分で守れるもの(健康)は自分で守る!食事や生活に心を配ってね。それが出来るのがアーユルヴェーダの知恵なのさ。
夏の過ごし方をまとめると、こんな感じだね。
- 消化に重いものを食べたり、食べすぎたりしない(カレーやスタミナ料理は避けるべし!)
- 激しい運動はしない(森林浴はオススメ)
- 甘味や冷性の食べ物を摂る(アイスなど極端に冷えたものの摂りすぎは厳禁!)
- 塩味・辛味・酸味・熱性のものは摂らない
- 冷房などで体を冷やしすぎたりしない
- スイカやキュウリ、ゴーヤといったウリ類やコリアンダー水がオススメ
- カリウム制限のある人や子ども、夜間のトイレが気になる人には麦茶
次は秋のリトゥチャリヤ(Ritucharya)を見ていくことにしよう!
次回予告
秋の心…それが愁い(うれい)!ピッタを癒やす中秋の名月
空気は徐々に冷気をまとい
切なさと物悲しさが入り混じる
秋の夜長に暴走するピッタ…。
夏と冬を繋ぐ残暑の季節に
騒ぎだす血の暴走に使われるのは
まさかのあの治療法!?
乞うご期待!